作業で使っている工具や、持っていないけど使ったことがあるお勧めの工具などを用途別に紹介していきます。
特定の商品の紹介ではなく、”使いやすい種類”や”お勧めの種類”と言った観点で紹介していきます。
今回はボルトナットの締結をメインに紹介します。
【クイズ】安全な順番
突然ですがクイズです!
左の写真の工具がボルト・ナットを回すときに使う工具ですが、どの順番で使用するのが良いでしょうか?
写真左から、
①ソケット+ハンドル
②メガネレンチ
③スパナ(オープンエンドレンチ)
④モンキー(アジャスタブルレンチ)
正解は、
写真の左から右の順番で使用するのが基本的には安全な工具選びです。
なので、実際に使える状況の中でより高い順位にある工具を使用することでボルト・ナットをなめらせたり怪我をする可能性を減らすことができます。
ソケット
ソケット単体はボルト・ナットを覆うための工具であり、後述のハンドルとセットで使用します。
6角と12角
基本的には、6角(6pt)と12角(12pt)のソケットが多いです。
6角のほうがボルトをしっかり包み込み、ボルト角への接触面が広いので安全です。
12角は振り角が6角の倍あるので、狭い場所での作業に向いています。
よほど大きなトルクのかかるボルト・ナットでなければ12角ソケットでも大丈夫かなと言うのが筆者の感想です。
ただし、衝撃を与えてボルトを回すインパクトドライバーなどを使用する際は6角ソケットを使いましょう。
レンチ同様1/4インチ~7/8もしくは1インチくらいまで揃えておけばいいと思います。
ディープソケット
ディープソケットは、ソケットの長さが長く深いのが特徴です。
ボルト頭を回すときには普通のソケットで対応できることがほとんどですが、ナット側を回すときには、ディープソケットが活躍します。
車で言うと、グリスニップルやブレーキのブリードバルブを緩める際にも使えます。
ディープソケットは、1/4、3/8,1/2インチがほとんどなのでこのサイズだけでもいいかと思います。
あとは、イグニッションプラグやホイールナットに使うのでミリで揃えてもいいかもしれません。
(16㎜=5/8、19㎜=3/4、21㎜=13/16)
その他のソケット
ボルト・ナット用以外のソケットで、車整備で便利なものを紹介します。
アーレンソケット
6角レンチのソケットタイプです。
6角レンチ(アーレンレンチ)はボルト穴にはめ込みにくく、何度も抜き差しする手間が煩わしく、なめることも多いボルトです。
しかし、このソケットとラチェットハンドルのセットで使うと、一度ボルトにはめ込めば抜かずに回すことができるので、非常に便利でなめる可能性も低くすることができます。
あると非常に便利ですが、あまり出番が無いため、必要サイズだけ所持でもいいと思います。
ビットホルダー
ビットを使用するためのソケットがビットホルダーです。
固着したネジなど、ドライバーでは回す力が足りない時に、ビットホルダーとラチェットハンドルの組み合わせなどで使うと便利です。
1/4インチもしくは6.35㎜のソケットでも代用できますが、ビットホルダーだと抜け止めが付いているので安心して使えます。
ハンドル
前述したソケット単体はボルト・ナットを覆うためのものでありそのソケットを回すための工具です。
スクエア(sq)サイズについて
ヘッドのスクエア(sq)サイズが
1/4インチsq、3/8インチsq、1/2インチsqの3種類が一般的に使われています。
25㎜(1/2インチ)以下のボルトサイズには1/4インチsq。
それ以上のサイズには3/8インチsqが多いです。
1/2インチsqはインパクトレンチ等に使われています。
いずれも、ソケットのsqサイズとレンチヘッドのsqサイズが揃っているか、変換アダプターを付けて使用します。
ラチェットハンドル
ソケットと一番よく組み合わせて使うハンドルがラチェットハンドルです。
ハンドルのヘッド部分にラチェット機能が搭載されています。
ソケットが一方向にのみ回転するようになっているので、ストローク範囲が狭い場所でもボルトへの掛け替えをせずにボルトを回すことができます。
もちろん締め緩めの切り替えができるようになっています。
スイベルラチェットハンドル
超お勧め工具です。
上述のラチェットハンドルのヘッドがスイング(スイベル)できるようになっています。
このハンドルの良さは、後述するエクステンションバーをある程度省けること。
真っすぐにすることで、ラチェットドライバーのようにも使用できること。
この2点です。
特にエクステンションバーの使用を少なくできる点については非常に便利です。
今使っているラチェットハンドルがぶっ壊れたら、絶対に次はスイベルラチェットハンドルを買います。
ブレーカーバー(スピンナーハンドル)
ラチェット機能のないハンドルです。
ヘッド部分は180度向きを変えることができますが、回転はしません。
ラチェットハンドルよりも柄が長く、また強度も高いため、固着したボルト・ナットを緩める際に活躍します。
基本的には、緩めるときの初動取りの一撃必殺的な使用をするので、狭いところで使いにくいよりも、長く高トルクが掛けられるものをお勧めします。
長さを変えられるものも良いと思います。
ソケット+ハンドルに使うその他の工具
エクステンションバー
ソケットとハンドルの間に挿して使用します。
長さが数種類あります。
ボルト・ナットが奥まったところにある場合に使用します。
状況によっては10㎝程のエクステンションバーを付けたほうが、力が入りやすい場合もあるのでそのような使い方もします。
また、首振りエクステンションバーであれば、ボルト・ナットに対して、ソケットを真っすぐ当てられないような場所に対しても多少斜めからでも使用することができます。
その反面ソケットの保持力が低く、ボルト・ナットからソケットを外す際に、ソケットを落とすことが多いので、少し注意が必要です。
ステップアップ、ステップダウン
ソケットのsqサイズと、ハンドルやエクステンションバーのサイズが異なるときに使用します。
ハンドルが大きく、ソケットが小さい場合は
ステップダウン。
ハンドルが小さく、ソケットが大きい場合は
ステップアップを使用することで、ひとつのハンドルでより多くのソケットを使用できます。
ユニバーサルジョイント
ボルト・ナットに対して、ソケットを真っすぐ当てられないような場所に対しても多少斜めからでも使用することができます。
首振りエクステンションバーを持っている場合はあまり出番がありません。
レンチ(スパナ)
レンチもしくはスパナは色々な組み合わせや種類があります。
基本的には2対になっており、モンキーレンチはサイズを任意で変更できます。
メガネレンチ
基本的には違うサイズ(1サイズ違い)で対になっています。
左右で高低差が付いていることが多いです。
本締めや緩めるときの初動を取るときには向いていますが、ボルト・ナットの頭をしっかり覆える場合にししか使用できません。
基本的には12角になっています。
オープンエンドレンチ
こちらも基本的には違うサイズ(1サイズ違い)で対になっています。
左右で少し角度が付いていることが多いです。
オープンレンチは横から挿し込めるため緩んでいるボルトを回すのは楽ですが、本締めや緩めるときの最初の初動を取るときには向いていません。
なめる可能性や、ボルト・ナットから滑ってけがをする可能性が高いためです。
コンビネーションレンチ
コンビネーションレンチは同じサイズで対になっています。
上記のメガネレンチとオープンエンドレンチのセットになります。
メガネレンチで初動を取り、後はオープンエンドレンチで緩めていく。
オープンエンドレンチでくるくると回していき、最後に反対側のメガネレンチで締め付ける。などのように使用します。
車整備では1/4インチ~7/8もしくは1インチまでのセットで揃えておくといいと思います。
(11,12本セット位)
Pointメガネレンチ側がラチェット機能付きであったり、さらに首振り機能がある商品もあり非常に使いやすいです。
モンキー(アジャスタブル)レンチ
よく目にする工具ですが、基本的にはあまり使いたくない工具です。
理由は、なめやすいからです。
どうしてもサイズ調整できる分、ガタが出やすくなめやすくなります。
しかし、通常ミリスケールで工具を揃えているのに、ごくまれにインチサイズのボルトがあったり。などと言うときには開口サイズ以下のボルト・ナットであれば対応できるので便利です。
また、高トルクで締め付けられていないボルト・ナットばかりであれば、これ一本で全て対応できるので非常に便利です。
しかし、基本的には最終手段だと考えて使ったほうがいいです。5回使ったら一回はボルト・ナットをなめらせると思っておいたほうがいいです。
レンチを揃えるなら
上記を踏まえて、レンチを揃えるならば、
「コンビネーションレンチ」を各サイズごとに揃えることで、一番少なくレンチを揃えることができます。
そして、念のためモンキーレンチを持っておく。
筆者としてはこのような揃え方をお勧めします。
余談
レンチサイズが大きくなるごとに長さが長くなるのは、ボルトサイズごとの締め付けトルクにある程度対応している為です。
そのため、固着したボルト・ナットを緩めるときには力が足りない場合があります。
その時には前述のソケットと、ブレーカーバーのセットなどがおススメです。
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