車検準備の為に各所点検をしていたところ、『ナックルジョイントのカップが破損』しているのを発見しました。
カップが破損、摩耗してしまうと、異音が発生しハンドル操作やタイヤの動きに影響を与えることがあります。
また、そのまま放置するとアッパーアームの交換を余儀なくされるため交換したいと思います。
平均的な寿命がわかりませんが、筆者のミニは5000㎞に一度のペースで破損しているので、かなり短期間での点検や交換が必要だと考えています。
今回は、ローバーミニのナックルジョイント交換について、実際の作業手順や注意点を解説します。少し難易度の高い作業ではありますが、DIYでの交換も可能ですのでぜひ参考にしてみてください!
症状
こちらが、浮き出てしまったナックルジョイントのカップです。
カップが浮き上がり、ブーツもめくれています。
もし、カップが底抜け(摩耗)しているとアッパーアームとナックルジョイントが直接擦れ合い、異音の原因となりアッパーアームの交換を余儀なくされるので早急に交換を実施します。
準備
工具と部品の準備を行います。
工具
アッパーアームのボールジョイントを外す必要がある為、一般的な工具と特殊工具が必要になります。
※レンチとソケットについて。
9/16と7/16はそれぞれ2本必要になります。
また、3/4はレンチが必要です。
こちらはあると便利な工具です。
ナックルジョイントとカップ
ナックルジョイントとカップです。
一台分すべて交換する場合は合計で4個必要です。
ナックルジョイントのシャフトの太さが2種類あります。
12.7(13)㎜タイプと14㎜タイプです。
筆者のミニは右の14㎜タイプで、アジャスタライドと呼ばれるタイプのハイローキットにのみ14㎜が使用されているようです。
今回はナックルジョイントは損傷していなかったので、カップのみ交換します。カップは共用できます。
アッパーアーム取り外し
ナックルジョイントを交換するには、アッパーアームを外す必要が出てきます。
少し大変な作業ではありますが、頑張ってやってきましょう!
付属部品の取り外し
まずは、『リバウンドバッファー』を外します。
アッパーアーム後ろ側にあるゴム部品です。
ねじ一本で取り付いています。
足が伸びきったときの衝撃を吸収する部品の為、
取り外すときはジャッキでハブを押し上げる必要があります。
続いて、『ショック』を外します。
アッパーアームとのつなぎ部分だけ外します。
ボルト、ナット共に9/16インチサイズなので、
レンチとソケットなどセットで必要です。
ワッシャーが挟まっているので外す際には注意しましょう。
続いて、『ボールジョイント』を外します。
まずは、11/16ソケットでナットを緩めます。
ナットは完全には外さずにボルトヘッドとツライチになる程度まで緩めます。
ボールジョイントは圧入されているので、ボールジョイントプーラーという特殊工具で外します。
ボールジョイントのボルトヘッドを押し込んで外す工具です。
圧入が外れた際にハブアッシーが落下するのを防ぐために、先ほどのナットは外さないでおきます。
必要により、『ハイローキット』を縮めます。
ボールジョイントのナットを完全に取り外します。
ばねワッシャーも付いているので注意しましょう。
アッパーアームを持ち上げると、ボールジョイントと分離します。
ここまでは、アッパーアームに取り付く部品との分離作業です。
アッパーアーム本体取り外し (シャフト外し)
それでは、アッパーアーム本体を車体から外していきます。
ボルト3本を外すことでアッパーアームのシャフトを車体から取り外すことができます。
まずは、アッパーアームシャフト後方のナットを外します。
3/4インチのコンビネーションレンチを使用します。
※隙間が少なくソケットが入らない為、レンチが必要になります。
※ハブボルト以上の高トルクで締め付けられているので、安全の為眼鏡側の使用をお勧めします。
続いて、アッパーアームシャフト前方のナットを外します。
前方は2本のボルトで取り付いています。
写真矢印に見えている一本はボルトとナットで取り付いています。
もう一本はシャフトの奥側にあり、車体前方からボルトのみで取り付いていますが、非常に作業しづらい場所に取り付いています。
まずは手前側のボルトナットを7/16インチのレンチ2本で取り外します。
車体左側に覗窓があるので奥のボルトを覗いてみました。
ラチェットハンドルを当てている位置に奥側のボルトがあります。
その手前側に大きなナットも映っていますが、こちらは外す必要がないのですが、非常に邪魔です。
ちなみに、この覗窓から工具を入れてもボルトを回すスペースは残念ながらありません。
少し手間ではありますが、フロントグリルを取り外し、エクステンションバーを50㎝分ほどつなぐことで、車体前方からボルトを緩めることができます。
覗き窓から見ると、このように正面からダイレクトアタックすることができます。
圧倒的に作業が楽になります。
ちなみに、助手席側はエクステンションバーをストレートに繋いでダイレクトアタックできますが、
運転席側はエクステンションバーの中間で屈折させる必要があります。首振りエクステンションバーか、ユニバーサルジョイントが必要です。
ソケットサイズは7/16インチで、ナットは溶接されています。
ボルトが外れたら、シャフトを前方へ押し出します。
あとは引き抜くだけでアッパーアームを外すことができます。
シャフト前後についている、ワッシャーのようなパーツをなくさないようにしましょう。
無事に外れました。
スプリングと、ハイローキットも一緒に外れるので注意しましょう。
ナックルジョイント取り外し
アッパーアームが外れました。
ハイローキットはナックルジョイントに刺さっているだけなので、引き抜きます。
ナックルジョイントはカップにきっちりと嵌っているので、ペンチでつかんで引き抜きます。
続いてカップも引き抜きます。
カップもアッパーアームにきっちり嵌っているので、ペンチやバイスプライヤーなどで引き抜きましょう。
取り外したカップとナックルジョイントです。
カップは周辺が破損していましたが、底抜けはしていませんでした。
そのため、ナックルジョイントも摩耗はしていませんでした。
カップの底が抜けていたら
過去経験で、このようにカップの底が抜けていることがありました。
この時はギシギシと異音が発生し、結果としてカップの底抜けでした。
カップが底抜けした場合、ナックルジョイントと、アッパーアームが直接擦れ合い摩耗します。
その場合は残念ですが、アッパーアームも交換しないと新しいカップを取り付けてもすぐにカップが破損します。
ナックルジョイント取り付け
ナックルジョイントの取り付け方はこちらのブログへ続きます。
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