旧車の足回りでよく見かけるグリース打ち方法について書いていきます。
1年に一回もしくは、5000km走行で一回くらいの頻度で行う作業かなと思います。
作業間隔
ノバとバラクーダのそれぞれのメンテナンスマニュアルには
このように記載されており、かなり振れ幅があるようです。
また、グリースに関してもノバはタイロッド等とハブベアリングはそれ違うグリースを指定していますが、バラクーダは同じグリースを指定しています。
準備
グリース打ちを行うには
①グリースガン(グリースポンプ)
②グリース
③ホース
④ウエス
⑤汚れ着
が必要です。
グリースガン(グリースポンプ)
グリースガン(グリースポンプ)はハンドガン、電動ガン、エアガンといくつかの種類があります。
それぞれの特徴を説明していきます。
ハンドガン
価格は安価です。
ハンドルを握る為片手で扱いにくいです。 片手でグリースホースを持ち、片手でハンドルを握らないといけない為、一人で作業するにはそれなりに苦労しますので、ワンハンドタイプをお勧めします。
大きく2種類のサイズがあり、
- 小型:約100g用。80gの小型グリースカートリッジが装着可。手詰めも可。
- 大型:約400g用。420gの大型グリースカートリッジが装着可。
となります。お勧めは大型ガンです。最初は小型を使っていましたが、大型グリースカートリッジを直接使える大型ガンのほうが扱いやすいです。
また、ワンハンドグリースガンは小型タイプのみになるようです。
電動ガン
価格は極めて高価です。
バッテリーを内蔵しているので重いですが、トリガーを握るだけでグリース打ちできるので片手で扱うことができます。
移動しながら多くの場所でグリース打ちする用途に向いているので、車の整備ではあまり使用しないかなと思います。
エアガン
価格はハンドガンより少しだけ高価です。
電動ガン同様、トリガーを握るだけでグリース打ちできるので片手で扱うことができます。
しかし、ガン本体意外にエアーの設備が必要。コンプレッサーやエアホースなどエアー設備が整っている場合はお勧めです。ハンドガンのわずらわしさと比べると圧倒的に便利です。
以上のように、それぞれメリットとデメリットがありますので、自分に合ったものを選びましょう。
グリース
グリースにも色々種類がありますが、足回りに使うグリースのみ紹介します。
- シャーシグリース:価格が安いですが、耐水性が高くない為タイロッドエンドなど軽くブーツが被っているだけの場合雨天時などに流れ出る場合がある。(筆者は8年くらいタイロッド系の足回りにはシャーシグリースを使用しており、雨天時も平気で走行するが問題が発生したことは無い。年一グリース打ち実施)
- リチウムグリース:ハブベアリング等回転部。
- ウレアグリース:ハブベアリング等回転部。多くの場合はリチウムグリースより性能が高い。
ノバ、バラクーダ、ミニのそれぞれのメンテナンスマニュアルを見た結果、
リチウムグリースもしくはウレアグリースで足回りやハブベアリングのグリースはまかなえます。
また、400gのカートリッジが入るグリースガンを選ぶと装填も簡単です。
ホース
グリースガンの先端に付けるホースです。 グリースガンはあくまでグリースを押し出すためのもので、このホースを使ってグリースニップルへとグリースを注入します。
ノズルタイプ
金属の棒でできています。 遠い場所でも押し付けることができ、グリースニップルに真っすぐ届くのであれば非常に使いやすいです。ストレートタイプや先曲がりタイプなどがあります。
グリースガン購入時に短めのノズルタイプが付いてくることが多いです。
フレキシブルタイプ(ホースタイプ)
ゴムなどのホースでできています。自動車の足回りなど狭い場所や、グリースニップルにノズルタイプを直接当てることができない場合に使用します。
長さが色々ありますが、30㎝の長さでは非常に苦労しています。50㎝以上ほしいのが本音です。
ウエス
想像以上に汚れます。 要らない雑巾やタオルなど10枚程度用意しておきたいところです。
汚れ着
想像以上に汚れます。
グリース打ち
それではグリースを打っていきます。
グリース打ちする場所にはこのようなグリースニップルが付いています。
この部分に、グリースガンにホースを繋いだ先端を噛ませます。
ゴミ防止のキャップが被っている場合もあります。
ニップルにグリスホースをつなぎました。
(ホースはニップルを咥える機構になっているので、押し当てると外れなくなります。)
ホース先端がニップルに対して真っすぐに当たっていれば、ホースを支えることなく、グリース打ちができます。
(ニップルの詰まりやグリスの固着が無い場合。)
グリス打ちを行うと写真のようにブーツ周辺から古いグリースが溢れ出てきます。
古いグリースを新しいグリースで追い出すくらいまでグリース打ちを続けましょう。
あふれ出た古いグリースはふき取ります。
ハンドガンの場合このシチュエーションになると苦労します。二人係で一人がホースを抑えて、一人がハンドガンを打つとやりやすいです。
グリース打ちポイント
代表的なグリースニップルが付いているポイントです。
基本的に前輪及び後輪の可動部分全てについていると考えてください。
以下がよくあるグリースニップルポイントです。
タイロッドエンド
タイロッドとは、ステアリングを切った際に、タイヤを左右に動かすためのロッドのことです。
そのタイヤ側がアウター。リレーロッド側がインナーとなり、車種によりその両方にグリスニップルが付いています。
ノバやクーダはピトマンアーム式のステアリング機構となり、リレーロッドが付いているので左右のタイロッドに対してインナーアウターとタイロッドだけで合計4か所にグリース打ちが必要です。
ミニはラック機構となり、アウター側のみにグリース打ちを行います。
アイドラアーム
ノバやクーダのようにピトマンアーム式のステアリング機構では、ステアリングシャフト側のスイングアームをピトマンアーム。 リレーロッドを介して、反対側にあるスイングアームをアイドラアームと言います。
このアイドラアームのリレーロッド側とボディ側の2か所にもグリース打ちを行います。
また、ピトマンアームにはグリースポイントが無い場合が多いです。ステアリングギアボックス内のフルードで潤滑されている為です。
ロアアーム
車輪を支えるアームの、下側のアームになります。
アームの付け根と車輪側にグリース打ちを行います。
アッパーアーム
車輪を支えるアームの、上側のアームになります。
アームの付け根と車輪側にグリース打ちを行います。
これ以外にもスウェイバー(トーションリンク)や
ミニには後輪のアーム付け根にもグリース打ちをしましょう。
アフターパーツなどを購入する際にも、グリース打ちができるようにニップルが付いているパーツと無いパーツがあったりします。
ニップル付きのパーツのほうが長持ちすると思いますので、参考にしてください。
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